徳島の地震津波 -歴史資料から-(徳島市民双書・16)
最終更新日:2019年10月29日
編著者: 猪井 達雄・沢田 健吉・村上 仁士
価格: ¥1,560 (税込み)
形式: B6版 235ページ
発行年月日: 昭和57年2月20日
目次
第1章 津波と古文書
第2章 津波の性質
第3章 徳島を襲った巨大な津波
第4章 古文書にみる津波の記録
1 永正・慶長・宝永・嘉永の震潮記-村役人の記録
2 慶長の大津波-住職の記録
3 宝永大地震-神宮の記録
4 地震津波嘉永録-商人の記録
5 大地震洪浪見聞筆記-国々の記録
6 慶長の円頓寺の旧記-震潮後の記録
第5章 古文書の記事に関する解説と検討
内容紹介: 序章より
徳島県は台風の常襲地域にあり、吉野川・那賀川の氾濫に加え、県南部を中心に地震による津波の被害をうけた古来より災害の多い県である。「災害は忘れた頃にやってくる」といわれるが、古文書・古記録をみると、100年から200年ごとに巨大な地震津波に襲われていることがわかる。
最近、歴史資料をもとにして、津波の規模、発生位置および巨大津波の発生間隔やそれらの被害状況の類似点などを分類し、整理することにより、巨大津波の発生予測や被害の予測を行う研究が進められている。こうした状況にかんがみ、歴史資料の発掘がますます重要な仕事になりつつある。
歴史資料の重要性はその他にも悲惨な津波の恐怖を生々しく後世に伝えることによって、日頃から津波に対する関心を呼び寄せることで、それがひいては人的・物的被害を軽減させる手助けになることである。
先人の残した多くの津波記念碑が徳島県の各所にあるが、案外県民に知られていない。津波の石碑や板書のある社寺や石仏の近くに住む人々でさえも、それらの存在さえ知らないのには驚かされる。津波は台風のように毎年来襲するものではなく、突発的であるがゆえに日常意識するということがなく、それに対する関心も薄くなっていることもその原因の一つにあげられる。また、碑面が風化したり苔むして銘文が読めなくなり、その碑が何を示したものであるかわからないことにも原因がある。
本書は、4章で示すように徳島県の地震津波に関する未解読の多くの古文書を猪井が最近解読し、まとめていたものに、土木工学の耐震工学を専攻する沢田および海岸工学を専攻する村上がその解読資料に興味を持ち、若干の資料の追加と地震津波に関する解読を加えて「徳島の地震津波」として1冊の本にしたものである。
こうした経緯により、副題にあるように「歴史資料」を中心にまとめたため、永正の津波から安政南海地震津波までを中心に記述しており、それ以後徳島県に大きな被害をもたらした、南海地震津波やチリ地震津波については記述していない。
宝永の津波や安政南海地震津波については4章に載せたもの以外の資料も残されているので、すでに解読されている古文書や碑文で徳島の津波の様子を知るために参考となるものを、できるだけ転載することにした。さらに、新しく解読した資料には多くの重複した記述があるが、それぞれが同一文献を資料としてまとめられた独立のものであると考えて、その箇所を削除しなかった。読者には多少冗長と思われることを承知してあえてそのまま掲載した。
今後、読者が使用される際に必要な「生」の資料をできる限り提供したかったからである。
本書がこのたび「市民双書」の1冊に加えられ刊行の運びに至ったことは我々として非常に嬉ばしいことでこれらの資料を我々の先祖が子孫のために残した教訓としてうけとめ、各方面の用に役立てていただければ幸甚である。
さらに、この書が没もれた貴重な資料の発掘の契機となれば著者らの望外の喜びである。
お問い合わせ
はこらいふ図書館(徳島市立図書館)
〒770-0834 徳島県徳島市元町1丁目24番地
電話番号:088-654-4421(代表)・088-602-8833(移動図書館)
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