令和6年第3回定例会
最終更新日:2024年9月6日
提出議案の説明に先立ちまして、一言申し上げます。
一 はじめに
(1) 大規模地震への備え
まず初めに、大規模地震への備えについてです。
今年に入って、全国各地で大規模な地震が頻発しておりますが、先月8日に発生した、宮崎県日向灘を震源地とするマグニチュード7.1の地震により、南海トラフ地震の想定震源域において、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられたことから、同日、気象庁より南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表されました。
この南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)は、地震発生から1週間程度、日頃からの地震への備えの再確認を行うとともに、地震が発生したら直ちに避難できるよう準備を呼びかけるものですが、聞きなれない発表に、改めて南海トラフ地震に対して恐怖心や不安感を覚えた市民の皆さまも多くいらっしゃったと思います。
そのため、徳島市といたしましては、気象庁の発表を受けて、徳島市公式SNSやホームページを通じて、地震への備えの再確認や、地震が発生した際にすぐに避難できるよう準備をしつつ、いつも通りの生活を送るように、冷静な行動を呼びかけるとともに、避難所の開設準備や、防潮板の点検など各施設の緊急点検を実施し、いざという時に備えてまいりました。
また、これまでも徳島市は、民間事業者と連携し、地域防災力の向上に取り組んでおり、今年7月には、学校法人四国大学・四国大学短期大学部、株式会社日産サティオ徳島と連携協定を締結し、防災分野の人材育成や、大規模災害時の避難所運営、市民向けのイベントや災害・防災をテーマとした合同セミナーの実施など、産学官が一体となった防災に関する取組を推進していくこととしたほか、昨年度に引き続き、平日昼間に南海トラフ地震が発生したことを想定し、市役所本庁舎の1階や2階の窓口に来られている市民の方の安全確保や応急救護活動、防潮板の操作などを行う津波避難訓練を、私を含め約250人の職員及び関係事業者とともに実施いたしました。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表に伴う政府としての呼びかけは、8月15日に終了しましたが、南海トラフ地震が起きる確率は、今後30年以内に70%から80%とされておりますので、市民の皆さまには、いつ大規模地震が起きてもおかしくないことに留意し、日頃から地震への備えを心がけていただくとともに、いざという時に、市職員が冷静に対応し、市民の皆さまの命を守るための安全確保、避難誘導等が速やかに実行できるよう、今後も訓練を続けてまいります。
また、今議会には、木造住宅の耐震化補助に対して、市民の皆さまから例年以上の申込みがあることから、耐震診断や耐震改修に係る補助件数の確保や、補助上限の増額を行うとともに、能登半島地震では、断水が長期化し、トイレの利用が制限されるなど厳しい環境での避難生活が続いたことを踏まえ、避難者が不安なくトイレを使用できるよう、徳島市の指定避難所91か所に、ポータブルトイレや災害用トイレセットを備蓄するほか、災害対応時の通信途絶に備え、人工衛星による通信手段を確保するなど、市民の皆さまの命や財産を守るための予算や、大規模な地震が近隣地域で続いていることに対する不安感の軽減につながる予算を提出しております。
(2) 阿波おどり
次に、夏の阿波おどりについてです。
5年ぶりに紺屋町演舞場が復活したことなどもあり、まち全体にコロナ禍前の活気が戻り、今年も踊る阿呆、観る阿呆が阿波おどりに酔いしれ、熱気に包まれた5日間となりました。
まずは、盛況に開催できましたことに対しまして、ご支援・ご協力をいただきましたすべての皆さま、また、県内外からお越しいただきました皆さまに心から感謝を申し上げます。
そして、私も、5日間、踊る阿呆、観る阿呆として参加して、あらためて阿波おどりは徳島が世界に誇る伝統芸能であり、徳島の宝であることを実感したところでございます。
また、今年の阿波おどりは、開催直前に発表された気象庁の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受けて警戒感が高まる中での開催となり、市民の皆さまをはじめ、来場者、踊り連の皆さま、阿波おどりに関わっていただきましたすべての皆さまには多大なご心配をおかけいたしました。
こうした中、徳島市は、阿波おどり未来へつなぐ実行委員会に対して、各演舞場の桟敷をはじめ関連施設の再点検や、避難経路の確認など防災対策を行うよう指示を行いました。
これを受けて、実行委員会は改めて桟敷等の安全点検の実施や、各演舞場、おどり広場、公式ウェブサイト等に避難経路を示すマップを掲示するほか、発災時に備え、共通認識をもって避難経路マップに沿って、適切に避難誘導できるよう、市危機管理局、実行委員会及び徳島県警察が連携を強化し、対応にあたっておりました。
このほかにも、各阿波おどり会場では開演前に避難情報のアナウンスを流す等の対策を行うなど、皆さまに安心して阿波おどりを楽しんでいただけるよう、市危機管理局と実行委員会では密に連絡をとりながら、できる限りの対策を行っておりました。
幸いにも、大きな混乱はなく開催することができましたが、今回の地震対策についてしっかりと検証し、災害に強い安全で安心な阿波おどりを目指すとともに、皆さまに愛され続けるお祭りとして未来につなげていくために、しっかりと取り組んでまいります。
また、来年開催される、大阪・関西万博は、阿波おどりを世界に発信し、国内外からの観光客誘客を拡大する、またとない機会でございますので、今議会には、大阪・関西万博に徳島市のブースを出展するための負担金や、観光PRを実施するための予算を提出しております。
そのほか、県が今秋以降の路線開設を目標に進めている香港や韓国の定期便の就航を絶好の機会と捉え、阿波おどりをはじめとする徳島市の観光コンテンツを磨き上げ、拡大するインバウンド需要を取り込むための有効な施策を検討してまいります。
(3) 県との協議
次に、県とのまちづくりに関する協議についてです。
昨年8月のキックオフミーティング以降、これまで開催されていなかった「県都魅力度アップ推進ワーキンググループ」の会議を、7月に開催いたしました。
私が市長に就任した当日、県庁を訪問した際に、後藤田知事から「県都魅力度アップ推進ワーキンググループ」の再起動についてお話をいただき、徳島市といたしましても、これを県市協調でまちづくりを進める好機と捉え、これに同意し、実現したものでございます。
会議では、新ホールの整備や、それに関する基本協定の取り扱いのほか、徳島駅北口・北側開発と車両基地の移設、アリーナ整備など、これから県市協調でまちづくりを進めるうえで核となる事業について、6月の市議会本会議や常任委員会等においていただきました様々な意見を、県との間で共有するとともに、今後事業を進めていくうえで検討すべき課題について議論を行ったところでございます。
その中で、新ホール建設場所を変更するのであれば、基本協定に基づいて、これまで徳島市が負担してきた経費や無償譲与した用地に関する「応分の負担」を頂きたいとの申し入れを行い、これに対して、「県として責任ある対応案を検討する」との回答があったところです。
今後におきましても、市議会での議論も踏まえ、引き続き、ワーキンググループを通じて、県市協調のもと、県都のまちづくりについて未来志向の議論を行ってまいりたいと考えております。
(4) 子ども議会
次に、株式会社エフエムびざんのご協力により、先月開催した子ども議会についてです。
子ども議会は、徳島市の未来を担う子どもたちが、市役所の仕事や市議会の仕組みなどについて学び、行政や政治に対する理解や関心を深めるとともに、近い将来、私たちと一緒になって、徳島市のまちづくりに参加してもらいたいという思いから開催しておりますが、今年は、申込が始まると同時に、たくさんのご応募をいただき、すぐに定員に達したこともあり、子どもたちの市政への関心の高まりを実感しております。
参加した子どもたちは、その場で初めて会った学校も学年も違う友達と一緒になってコミュニケーションを取りながら、自分たちの普段の生活の中から見出した課題について、グループで意見を出し合い、一つにまとめて解決方法を提案するなど、まちづくりにとって、なくてはならない重要な合意形成のプロセスを体験していただきました。
このような体験を通じて、まちづくりを身近に感じてもらい、自分たちにとって住みやすいまちにするためにはどうすればよいか、保護者の皆さまを含め、真剣に考えるよい機会になったのではないかと思います。
また、昨年度の子ども議会において、日本一の飼育数を誇るとくしま動物園のカピバラを活用した観光客の誘客対策の提案を受けまして、今議会には、とくしま動物園のピクニック広場を改修して、カピバラの専用飼育施設を建設するための設計業務の予算を提出しております。
私は、誰もが納得できる、誰からも愛される徳島市を目指しております。そのためにも、子どもたちをはじめ、市民の皆さまに、市政に対する理解や関心を高めてもらうための方策について、今後も検討してまいりたいと考えております。
二 本市の財政状況
次に、本市の財政状況についてです。
令和5年度決算につきましては、6月議会でお示ししたとおり、実質収支は、未精算の国補助金約7億円を含んでいるものの、約18億円の黒字となり、財政調整基金と減債基金を合わせた基金残高も着実に増加しております。
さらに、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」や、地方債償還額の実質的な負担割合を示す「実質公債費比率」、将来返済が必要な債務の実質的な負担割合を示す「将来負担比率」についても、前年度決算に比べ改善しております。
一方で、長期にわたり社会経済に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症が、昨年度、5類感染症に移行し、社会全体が平時モードに戻りつつあるものの、原材料価格の高騰などによる物価高騰の影響が続くなか、急速に進行する人口減少や少子高齢化は、いまだ歯止めがかからず、それに伴う、生産年齢人口の減少や、労働力不足は、地方経済の衰退を招くと予想され、現在の財政状況を維持していくことが、これまで以上に困難になると考えられます。
そこで、社会経済情勢の変化に適切に対応するとともに、今後の行財政運営に向けた改善策を見出していくため、まずは、現状の行財政運営を継続した場合の財政収支試算を行ってまいります。
また、この財政収支試算を踏まえ、今後、新たな行財政運営計画を策定し、将来にわたり持続可能な行財政運営体制を構築してまいります。
三 令和6年9月議会提出議案
(1) 概要
それでは、今回提出いたしました議案の概要につきまして、ご説明いたします。
今議会に提出いたしました議案は、予算議案3件、条例議案7件のほか、本日追加提出いたしました議案も含め、単行議案23件の合計33件となっております。
(2) 予算議案
まず、予算議案につきましては、一般会計では、14億1,835万円の増額、介護保険事業特別会計では、前年度決算に伴う精算に係る予算として、10億4,337万円の増額、後期高齢者医療事業特別会計では、システムの標準化について、国の標準仕様書の改定状況などを踏まえ、当初想定していた整備スケジュールに変更が生じたため、債務負担行為の限度額及び期間の変更を行っております。
今議会には、例年9月議会に計上している予算のほか、先にご説明いたしましたとおり、全国各地で大規模な地震が頻発しており、南海トラフ地震に対する不安感が高まっていることを踏まえ、市民の皆さまの命や財産を守るための防災・減災対策関連予算をはじめ、市長選挙において掲げておりました私の約束に基づく事業に係る予算を提出しております。
それでは、一般会計の補正予算についてご説明いたします。
まず、教育環境の充実として、市立中学校における屋内運動場の空調整備に着手するにあたり、各学校の現状等を把握するための現地調査を実施し、整備方針及びスケジュール等を検討するとともに、市立高等学校においては、屋内運動場の空調整備に係る実施設計に取り組んでまいります。
屋内運動場の空調整備につきましては、市長選挙において私の約束にも掲げておりましたとおり、子どもたちの夏場の部活動等の熱中症対策として有効というだけでなく、災害発生時には避難所としても利用される施設であるため、避難所の生活環境の向上も図るものでございます。
もし、今年の夏のような猛暑のなか、大規模災害が発生し、空調のない避難所での避難生活を余儀なくされるとしたら、その肉体的・精神的な負担は想像するに余りあるところでございます。
長期間続く避難所生活において、快適な環境を提供し、避難者のストレスを軽減するためにも、屋内運動場の空調整備を進めてまいります。
また、市立小学校、中学校及び幼稚園について、児童、生徒及び園児が、安全で快適な生活を送れるよう、既存予算を増額し、施設修繕及び改修を行うとともに、耐用年数を超え、老朽化した市立高等学校のサッカーグラウンドの人工芝の張替えに向けて実施設計に取り組むこととしております。
このほか、質の高い学校教育の実現と、より良い教育環境の構築を目指すため、徳島市立学校適正規模・適正配置等検討委員会を設置し、小中学校における学校規模の適正化や、将来を見据えた学校適正配置の在り方等に向けた検討を進めてまいります。
次に、令和6年度当初予算では、骨格予算として事業費の一部を計上していた、道路や農道、河川、排水施設の補修や整備など、市民生活に直結したインフラ整備に関する予算は、近年の資材価格や人件費の高騰などを考慮し、例年より増額となるよう追加しております。
また、徳島市土地開発公社が所有する安宅公園用地について、今後、公園整備を進めるため、公社から当該用地の再取得を行うほか、排水機場の補修や、土地改良区が実施する、管水路の老朽化対策に対して補助を行うものでございます。
その他、新町西地区市街地再開発組合が実施する再開発事業について、商店街アーケードの撤去に伴い、タイル舗装の市道において、スリップ事故の発生の危険性があることから、事業スケジュールを前倒しして、商店街道路のアスファルト舗装等の工事を行うため、組合に対する公共施設管理者負担金を計上するほか、道路メンテナンス事業において、工事請負契約の変更等に伴う増額分について、債務負担行為を設定するものでございます。
また、例年9月議会に提出しております予算として、県が行う農業水利施設保全対策事業や道路整備事業などに対する徳島市の負担金や、国の交付金を活用した、特別養護老人ホームを運営する事業者への大規模修繕に対する補助、令和7年3月に開催予定のとくしまマラソンに対する開催費の補助を計上しております。
それ以外にも、個人住民税に係る当初課税業務のうち、確定申告書等のデータ入力業務について、外部委託するとともに、令和7年6月までの業務委託を予定しているため債務負担行為の設定や、自治体情報システムの標準化への移行に伴う、税務システムの情報連携に係る改修費用の増額、令和6年10月から公金を支出する際にかかる金融機関への手数料のほか、隣保館や教育集会所について、蛍光灯をLED照明器具へ切り替えるための改修費用や、システム標準化に係る社会保障系業務システム整備事業について、国の標準仕様書の改定状況などを踏まえ、当初想定した整備スケジュールに変更が生じたため、債務負担行為の限度額及び期間の変更を行うものでございます。
(3) 条例議案
続きまして、条例議案につきましては、先ほど予算議案でもご説明いたしました、徳島市立学校適正規模・適正配置等検討委員会を教育委員会の附属機関として設置するための、徳島市附属機関設置条例の一部改正のほか、新たな市立教育・保育施設の再編計画に基づく保育所及び幼稚園の廃止並びに認定こども園の新設に伴う、徳島市立保育所条例等の一部改正や、公民館のコミュニティセンターへの統合を段階的に進めることに伴う、徳島市公民館条例及び徳島市地区コミュニティセンター条例の一部改正を行うとともに、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられたこと及び徳島県新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に関する条例の廃止に伴い、徳島市新型コロナウイルス感染症対策条例を廃止するものでございます。
そのほか、関係法令の改正に伴うものとして、国民健康保険の被保険者証が廃止されることに伴う徳島市国民健康保険条例の一部改正などを行うものです。
(4) 単行議案
最後に、単行議案につきましては、令和5年度決算における中央卸売市場事業会計及び水道事業会計の利益の処分に関する議案のほか、各公営企業会計の決算、本日追加提出いたしました一般・特別会計の決算について、監査委員の意見を付けて認定に付するものです。
また、助任橋橋梁下部工事に関する工事請負契約の変更や、新浜ポンプ場雨水自動除塵機設備改築工事など、3件の工事請負契約及び業務委託契約の締結のほか、令和6年度から森林環境税が個人住民税と併せて徴収されることに伴う、徳島県市町村総合事務組合規約の変更や、改正された行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴い、現行の被保険者証の代わりに資格確認書が発行されることとなるため、徳島県後期高齢者医療広域連合規約を変更するほか、市道路線の認定に関する議案を提出いたしております。
以上、よろしくご審議いただき、ご可決くださいますよう、お願いいたします。
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