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からだ編

最終更新日:2021年4月1日

Q糖尿病ってどんな病気?

A

 血糖を下げるインスリンの作用不足により、慢性の高血糖状態になる病気です。
 成因で分類すると、1型と2型があります。そのうち、およそ95パーセントが2型です。

糖尿病の成因による分類と特徴
1型 2型
 インスリンを合成する膵臓(すいぞう)の細胞が主に自己免疫疾患を基礎とした要因で破壊されたり消失して発症します  インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性を生じる複数の遺伝因子に、食べ過ぎや運動不足などの因子が加わって発症します
 生活習慣や肥満との関係はありません  生活習慣や肥満と関係があります

Q糖尿病境界型と言われたのですが、どういう状態ですか?

A

 血液検査で、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が糖尿病型にも正常型にも属さない値を示す領域のことです。
 大きい血管の障害(動脈硬化)が潜在的に進行し、将来的に心筋梗塞や脳卒中が発症する危険性があります。
 生活習慣を見直し、定期的に検査を受けながら正常領域を目指しましょう。

空腹時の血糖値
正常 境界領域 糖尿病型
100mg/dl未満 100から125mg/dl 126mg/dl以上
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
正常 境界領域 糖尿病型
5.5パーセント以下 5.6から6.4パーセント 6.5パーセント以上

QHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに?

A

 血液中の赤血球にはヘモグロビンという血色素がありますが、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、このヘモグロビンに糖がくっついてできる糖化ヘモグロビンの割合を示しています。
 基準値は5.5パーセント以下で、血液中に糖が多くなるとHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の割合も増えます。
 また、一度糖がくっつくと赤血球の寿命がつきるまで離れないため、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は検査日からさかのぼって1から2か月間の血糖の平均値を示します。

HbA1cの説明図

Q糖尿病になるとどんな合併症がでてくるの?

A

 糖尿病境界型の時から大血管の障害が潜在的に進むため、心筋梗塞や脳梗塞がおこる可能性があります。
 糖尿病になると、さらに細小血管の障害がおき、糖尿病3大合併症である神経障害、網膜症、腎症が発症する可能性が高くなります。

合併症の説明図

Q糖尿病には意外な症状があるって本当?

A

 糖尿病には自覚症状がほとんどありませんが、進行するとさまざまな症状が現れます。
 一般的には、「のどが渇く」「尿に泡が立つ」などがよく知られている症状ですが、以下の症状はあまり知られていません。

  • ものが見えにくい
  • 胃の調子が悪い
  • 下痢と便秘をくりかえす
  • 冷える、ほてる、異常に汗をかく
  • 疲れていないのに足がつる
  • 手足の感覚の違和感(しびれなど)
  • もの忘れ など

 これらの症状は見逃されることが多く、気づかないうちに血管が傷み、さらなる重症化を招きます。
 年に1度は健診を受け、自分の身体の状態を確認しましょう。

Q血液の中に糖が多いと、どうして困るの?

A

 高血糖状態になると、糖は血液中に流れている物質とくっつく性質があります。
 糖とくっつくと、図のようにさまざまなからだの異常がおこります。

からだに起こる異常の説明図

Q糖尿病の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)以外にはどんな合併症があるの?

A

 高血糖の状態が続くと、血管の壁が厚く硬くなり、血液の流れが悪くなります(動脈硬化)。
 それが原因で、脳梗塞、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、心筋梗塞などの病気を引き起こす可能性があります。
 また、これらの病気の発生する頻度も健康な人と比べて2から4倍高くなります。
 合併症が起こる前に、医療機関を受診するとともに生活習慣の改善をこころがけましょう。

Q特定健康診査のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の表し方がかわるのですか?

A

 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の表し方は、これまで日本でのみ使われていたJDS値から、国際的に使用されているNGSP値に変わっています。
 そのため、2014年の特定健康診査から、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値はNGSP値で表記されますので、ご注意ください。

(例えば)

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の表記の変更図

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)JDS値からNGSP値への換算式
JDS値(パーセント)

4.9パーセント
以下の場合

5.0から9.9パーセント
の場合

10.0から14.9パーセント
の場合

NGSP値(パーセント) JDS値+0.3 JDS値+0.4 JDS値+0.5

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、糖尿病の診断に用いられる血液検査項目のひとつで、検査日からさかのぼって1から2カ月間の血糖の平均値を示します。

Q初期の糖尿病を見つけるためにはどうしたらいいの?

A

 年に1度は健康診査を受け、自分の身体や血管の状態を確認することが大切です。糖尿病の初期はほとんど自覚症状がなく、健康診査などの血液検査でしか発見できません。
 糖尿病などを放置していると、血管の壁が分厚くなり、血液の流れが悪くなることで、さまざまな合併症(心筋梗塞・脳梗塞など)が起こってきます。

血管の断面の説明図

Q糖尿病予備群の人はどのくらいいるの?

A

 平成24年度特定健康診査結果によると、糖尿病予備群(境界型)とされるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が5.6から6.4パーセントの人の割合は受診者全体の46.6パーセントです(下図参照)。
 糖尿病予備群の段階では、のどが渇く、尿の回数が増えるなどの糖尿病の症状はほとんどありません。そのため気づかないうちに糖尿病へと進行する可能性が高く、安心できない状態です。
 さらに、太い血管の動脈硬化は、糖尿病予備群の段階から進行するので、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性もあります。
 健康診査を受けて、自分の現在の健康状態を確認しましょう。

平成24年度特定健康診査受診者のHbA1cの数値割合のグラフ

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