更新日:2019年10月29日
編者: 「花暦」編集委員会
価格: ¥2,080 (税込み)
形式: B6版 253ページ
発行年月日: 昭和63年3月25日
1月/まつ、たけ、うめ、ゆずりは、せり、なずな、…
2月/みやこあおい、なんかいあおい、ひめかんあおい、…
3月/おおばやしゃぶし、あせび、こなら、…
4月/ふっきそう、あまな、さけまん、…
5月/やちまたいかりそう、はんかいそう、…
6月/しゃくなげ、みやまざくら、はまぼうふう、…
7月/さぎごけ、きりんそう、どくだみ、…
8月/またたび、ぎんばいそう、なつえびね、…
9月/なんごくくがいそう、こうすゆきそう、…
10月/おぐるま、あきのきりんそう、とげあざみ、…
11月/すいらん、とちばにんじん、われもこう、…
12月/やぶらん、ひいらぎ、たちばなもどき、…
人生は花あってこそ楽しくうるおいがある。日本は、世界一の技術大国であり、経済大国であるが、住む家はまだ兎小屋であり、家を建てたくても土地は暴騰して敷地獲得には手がとどかない。毎日のくらしは技術大国や経済世界一にふさわしくない貧困さを脱却できずにいる。その日本や徳島に誇るものがある。それは自然の美であり、人情のこまやかさや生活の安定感である。剣山山系の山々、吉野川、那賀川などの水の美しいことは日本中、いや世界中に誇ってよい。山紫水明の桃源郷といえば少し言いすぎかな。でもそれに近いものがある。とりわけ植物の美しいことは日本の宝庫といってもよい。襲速紀地帯の暖帯系の植物にくわえ、剣山山系の亜寒帯植物、朝鮮雲南につながる大陸系植物など四季おりおりの花が南国特有の真冬でも咲いている。日々の生活にこの花の美しさや楽しさをとり入れ、住みにくいというこの世を人生を少しでも明るく楽しく過ごそうとねがったのがこの書であり読者の心に毎日毎日花の美しさを送り付けたい。
まず1月には早咲きの紅梅が咲きはじめる。ふと見ればなずなが垣根に咲いている。ふきがとうを出し千両、万両など赤や黄色の実が美しい。
2月はみつまたやゆきわりそうが、ひなたでは早咲きのすみれが咲く。
3月ははんのきゃくぬぎなどの花が青空を背景に空中にずらさがって風に吹かれている。とさみずき、ひうがみずきなどが黄色い花をつりさげている。月末になるとひがんざくらやそめいよしのなどさくら類が咲きはじめ、4月中旬から月末までさくら類が咲き山野を花で埋める。この伴奏がすみれたちである。
5月は花の満開である。どの花もとりあげるのに困る。一輪草二輪草さくらそう類、あやめ、つつじ、ふじなど多士さいさいというところ。
6月は高地のしゃくなげ、つつじなどが、低地にかわって満開を迎える。
7月はきりやはまぼうの花が青空にういて紫や黄色ではでなものだ。夏の土用にはじゅうやく、げんのしょうこなどが薬草をとり入れるのに忙しい。
8月は剣山お花畠などは毎日行ってもあきない。きれんげしょうまの黄、くがいそうの紫、おおやまれんげの純白、つまとりそう、うめばちそう、しらひげそう、しこくふうろなどなど皆々かわいらしく美しい。
9月になると、山ははや秋が深い。花は平地へ下って咲く。アルプスに咲くというエーデルワイスの仲間のうすゆきろう、ほととぎすの類が山地で見られ、平地ではむくげやふようが咲きはじめる。
10月は秋の七草の時で、はぎ、すすきなどそれぞれの風情がある。
11月には紅葉がはじまる。剣山スーパー林道の紅葉はスケールの大きいことで目を驚かす。秋の野菊が多く、那賀川乃菊、剣寒菊、油菊、りゅうのうぎく、よめな、こんぎくなど菊がいたるところに咲く。
12月は、実が美しい。にしきぎ、まゆみ、くろがねもち、ピラカンサなど。おわりにさざんかややぶつばき、水仙、暖冬にはおうばい、ろうばいが年の瀬をかざる。これらの取捨選択に困ったがしまいには目をつぶって月日に割りこんだ。春夏は多く冬は少なくて多少不順当なものがあるが、ご了承いただきたい。座右にそなえて毎日こよみとともに花を友としていただければ幸甚である。
昭和63年3月25日
木村 晴夫
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