令和7年第3回定例会

更新日:2025年6月10日

 提出議案の説明に先立ちまして、一言申し上げます。

一 はじめに
(1) 南海トラフ巨大地震の新たな被害想定
 はじめに、南海トラフ巨大地震の新たな被害想定についてです。
 令和7年3月に、国は、平成24年度に公表した前回の南海トラフ巨大地震の被害想定から、最新の知見に基づく推計方法の見直しや、地形データの更新、建物の耐震化など現在の状況を踏まえ、想定される最大規模の地震が発生した場合の、新たな被害想定を公表しました。
 新たな被害想定では、全国の死者数が前回の被害想定から約1割減少したのに対し、徳島県では約3割増加の4万1千人となっているほか、津波浸水面積も約3割増加しております。 
 こうした状況を踏まえると、今後、県から示される徳島市の被害想定は、前回、約1万人とされていた死者数と同規模あるいは増加するものと予想されます。
 また、新たな被害想定には、建物の耐震化や家庭での備蓄、迅速な避難行動など、地域防災の主役となる市民一人ひとりや、各事業者が、より一層主体性を持ち、とるべき対策を着実に実施することで、被害を大幅に軽減できると示されております。
 徳島市では、これまで南海トラフ巨大地震対策として、津波避難施設の整備や、木造住宅の耐震化への助成など様々な取組を推進してきたほか、今年度は、要救助者の捜索や情報収集を行う災害用ドローンを新たに整備するほか、公共通信インフラが停止した際にも、円滑に情報収集が可能となる徳島市独自のネットワークを構築するとともに、自主防災連合組織への助成制度の拡充や、指定避難所への簡易ベッドの整備、避難所運営協議会結成や活動のための助成制度を創設するなど、災害対応機能の強化と地域防災力の向上に予算を重点配分したところでございます。
 徳島市といたしましては、今回、公表された被害想定を重く受け止め、今後、県から示される徳島市の被害想定をしっかりと分析し、これまで実施してきた対策の効果について早期に再検証を行うとともに、より実効性のある対策を検討してまいりたいと考えております。
 南海トラフ巨大地震発災時には、まず、「地震から自らの命を守ること」、「津波から逃げること」が最優先です。
 今回の新たな被害想定の公表を契機として、市民の皆さまにおかれましては、改めて南海トラフ巨大地震はいつ何時発生してもおかしくない災害であるという意識をしっかりと持ち、夜間や就寝中の避難に備えて、寝るときは枕元に靴を準備しておくなど、小さなことではありますが、日頃から南海トラフ巨大地震を意識した生活をしていただきますようお願いいたします。

(2)市政の透明化
 次に、市政の透明化についてです。
 私は、市長に就任して以来、常に市民目線に立ち、透明性の高い市政運営に努めてまいりました。
 その中でも市議会や市民の皆さまからの関心が高い、令和3年に実施した徳島都市開発株式会社への貸付金20億円の使途等については、昨年度から実施しておりました調査の結果がまとまり、今議会の事前委員会で報告を行った後、徳島市のホームページを通して市民の皆さまへ公表させていただいております。
 今後におきましても、徹底した情報公開により、市政の透明化を図ってまいります。

(3)県との協議
 次に、県とのまちづくりに関する協議についてです。
 県市協調新ホールについては、本年4月2日に新たな県市協定を締結し、県において藍場浜公園西エリアでの整備に向けた手続きが進められております。また、先月26日には「県都魅力度アップ推進ワーキンググループ」の第4回会議が開催され、アリーナや中央卸売市場、「県都のまちづくりによる徳島の未来創生基金」などについて、協議を行ったところでございます。
 このうち、アリーナにつきましては、「駅北エリア」と「徳島東工業高校跡地」の2か所を候補地として、それぞれにおける課題について県市間で共有を図りました。
 今後、県において候補地の検討が行われることとなりますが、徳島市といたしましては、新たな賑わいの創出に資するアリーナの実現に向けて、市議会や市民の皆さまのご理解を得ながら、できる限りの協力を行ってまいりたいと考えております。

(4)ごみ処理施設
 次に、ごみ処理施設についてです。
 北島町からの一般廃棄物の処理に関する協議の申し入れを受け、先の3月議会終了後から協議を開始しておりました。
 北島町は、「協議に対する徳島市の考え方」に対して、概ね異論はないとの考え方を示していることから、新たなごみ処理施設において、可燃ごみに限る一般廃棄物の処理を引き受ける方針としたいと考えており、今議会において、北島町の可燃ごみの処理を受託する議案について、ご審議いただくこととしております。
 先月の22日と24日に開催した住民説明会では、私も出席し、北島町の可燃ごみの処理を引き受ける方針や、昨年度に行った建設予定地における災害リスクと対策に関する検証結果についてご報告し、交通量の増加や災害対策に関する様々なご質問やご意見を伺ってまいりました。
 今後におきましても、引き続き、市民の皆さまのご理解を得られるよう丁寧な説明に努めるとともに、交通対策や災害対策などについても更なる検討を重ね、マリンピア沖洲での新施設の早期整備に向けて事業を進めてまいります。

(5)阿波おどり
 次に、阿波おどりについてです。
 徳島市では、大阪・関西万博会場で開催される万博首長連合主催の「LOCAL JAPAN展」において、7月28日と29日に徳島市の阿波おどりと、広島県安芸高田市の神楽の共演を予定しております。
 阿波おどりの「踊り」と神楽の「舞」が融合する、これまでにないパフォーマンスを披露することで、新たな阿波おどりの魅力を発信し、徳島市への誘客につなげてまいります。
 また、「2025阿波おどり」は、万博により関西圏に注目が集まる絶好のタイミングでの開催となり、例年以上に国内外から多くの観光客が徳島市に訪れることが期待されます。
 こうした好機を捉え、観光客をはじめ多くの皆さまに本場・徳島の阿波おどりを存分にご堪能いただくために、より安心・安全でさらに魅力ある阿波おどりが実施できるよう、「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」と連携し、本番に向けて万全の準備を進めてまいります。

(6)徳島市立中学校の標準制服
 次に、徳島市立中学校の標準制服についてです。
 近年の気候変動への対応や、個人の価値観の多様性を尊重する動きから、全国的に公立中学校の制服を見直す自治体が増加している状況を受け、徳島市では昨年8月に「徳島市立中学校制服のあり方検討委員会」を設置し、制服の必要性から検討を開始いたしました。
 その後、関係者へのアンケート調査などを経て、市立中学校共通の標準制服の採用を決定し、本年3月に、児童生徒や保護者、教員を対象に実施した「市立中学校標準制服デザイン総選挙」の結果を踏まえ、このたび、デザインを決定いたしました。
 今回決定したデザインは、深みのあるダークネイビーのブレザーに、同系色のネイビーを基調としたチェック柄のボトムスを合わせることで、引き締まった印象となっております。
 新しい標準制服は、制服を着る子どもたちの快適性やご家庭での管理のしやすさを考慮するとともに、ジェンダーレスへの対応にも配慮したものとなっております。
 標準制服は、これまでの制服に加わるもう一つの選択肢として、令和9年4月からの導入を予定しています。
 子どもたちや保護者の皆さまのご意見を反映した標準制服が、末永く愛され続けることを期待しております。
二 令和6年度決算の概要
 続いて、令和6年度決算の概要等につきまして、若干申し上げます。
 一般会計につきましては、歳出面では、社会保障関係経費などが増加するなか、歳入面では、歳入の根幹をなす市税が増加するとともに、地方交付税や地方消費税交付金など主要一般財源収入の増加に加え、パートナー企業の増加や新しい返礼品の開発などの取組を強化した結果、ふるさと応援寄附金が過去最大となるなど、積極的に財源の確保に努めたことで、財政調整基金を取り崩すことなく、実質収支で11億円の黒字となっています。
 また、特別・企業会計につきましては、人口減少等による料金収入の減少や、施設の老朽化への対応などにより、厳しい経営環境に直面しているなか、各会計においては、歳入の確保対策や、経費の節減など、経営の健全化・効率化に向けて懸命に取り組んでおりますが、一部の会計では一般会計からの繰入金に依存している会計もあることから、より一層の経営基盤の安定と強化に努める必要があると考えております。
 徳島市の財政状況は、近年、財政調整基金を取り崩すことなく黒字を保っておりますが、今後、新しいごみ処理施設の整備など、大きな財政負担を伴う事業に取り組んでいくなかで、新たな行政需要にも的確に対応できる安定した財政基盤を確立し、質の高い市民サービスを創り続けるため、今年度からスタートする「徳島市行財政改革推進プラン2025」に掲げる取組を着実に実施してまいります。

三 令和7年6月議会提出議案
(1)概要
 それでは、今回提出いたしました議案の概要につきまして、ご説明いたします。
 今議会に提出いたしました議案は、本日追加提出した議案も含め、予算議案2件、条例議案4件のほか、単行議案5件の、合計11件でございます。

(2)予算議案
 今回の予算議案につきましては、一般会計で5億1,196万円の増額となっております。
 予算議案の内容といたしましては、まず、保育料の無償化につきましては、これまで0歳から2歳児の保育料は国の制度等に基づき、第3子は既に無償化している一方で、第1子は全額、第2子は半額をご利用されている方にご負担いただいておりますが、本年9月から拡充される県補助を活用し、新たに第1子及び第2子についても保育料を無償化するものです。無償化により私立認定こども園及び地域型保育事業者については、各施設に納付される保育料が減少するため、事業者に対して減収分を支給するほか、利用者に向けて保育料の無償化について周知するための費用を計上しております。
 また、高齢者への新型コロナウイルス感染症及び帯状疱疹のワクチン接種により、罹患や重症化を予防するための費用や、帯状疱疹ワクチンの定期接種化に対応するため、接種結果データを標準準拠システムへ移行するための費用を計上しております。
 さらに、令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて、徳島市でも老朽管路の状態を早期に把握することで同様のリスクに備えるため、設置から30年以上が経過している内径が2メートル以上の都市下水路管路について、特別重点調査を実施するための費用を計上しております。
 加えて、市立小・中学校の給食費について、物価高騰による保護者への負担を軽減するため、国の重点支援地方交付金を活用し、食材納入業者に対して補助する予算を計上しております。

(3)条例議案
 次に、条例議案につきましては、育児休業の取得促進と、育児休業者が所属する職場の円滑な業務執行を図るため、代替として正規職員を配置する場合に育児休業者を定数外とするなど、徳島市職員定数条例の一部を改正するほか、関係法令等の改正に伴い、徳島市市税賦課徴収条例、徳島市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例及び徳島市学校医、学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償条例の一部改正を行うものです。

(4)単行議案
 最後に、単行議案につきましては、災害対応特殊水槽付消防ポンプ自動車及び、徳島市立高校の学習支援用タブレット端末の購入契約にかかる財産の取得や、市道路線の廃止や認定のほか、北島町との間における一般廃棄物の処理に関する事務の受託に関する議案を提出いたしております。
 
 以上、よろしくご審議いただき、ご可決くださいますようお願い申し上げます。

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