更新日:2019年8月11日
一幅
墨画淡彩
守住貫魚 筆
縦123.0 cm 横53.0 cm
幕末~明治
紫式部の「源氏物語」巻十三の「明石」に題材を採っている。須磨にわび住まいしていた光源氏が明石の君を訪れたところを描く。口など一部に淡い色彩を施すものの、ほとんど墨の濃淡だけで華麗な王朝の雅びの世界を余すところなく繊細に表現している。また金泥引きも効果的に使われており、貫魚(つらな)の技量の高さと幅の広さを知ることができる。また、従来極彩色の作品を貫魚はもっとも得意としたとされてきたが、近年貫魚の作品が数多く見いだされることにより、墨画淡彩の作品に見るべきものが多いと思われ、貫魚は墨画淡彩を得意としていたと考えることができよう。そのなかでも、本作品は代表作のひとつにあげられるものである。
落款は「守住貫魚□(白文朱方印「阿藩画史」)とある。署名は一字一字丁寧に気合を入れており、貫魚にとっても会心の作品であったのであろう。
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